【 第2回臨床高血圧フォーラム にて ポスター発表 】

 

スライドの前に スライド

 

朝の病院

スライドの前に

 

 

乳酸菌産生物質により、腸内環境の改善ができれば、小腸からの吸収率が上昇し、

血中のALB(体蛋白)が上昇し、栄養状態が良好になると考え試験を始めました。

 

しかし、乳酸菌産生物質を利用するとALB値だけでなくCRP値も改善され、

乳酸菌産生物質とALB値上昇には本当に関連性があるのか、

何が効くのかと問われても、当時は説明する知識がありませんでした。

 

他の試験において、乳酸菌産生物質を利用すると、

一般血液検査では問題の無い鉄・亜鉛のみ低値の被験者で、

血中の鉄・亜鉛のみが上昇しました。

 

他、強化アルギニン・鉄・亜鉛を一ヶ月行っても、

ALB・Hbの血液検査値が正常にならなかった被験者において、

乳酸菌産生物質を利用すると数日で正常値に改善する事ができました。

 

乳酸菌産生物質には亜鉛や鉄は含まれていません。

なぜ、その様な事がおこったのでしょうか?

 

亜鉛と炎症反応を軸に、その疑問を調査し、

「乳酸菌産生物質の摂取は炎症反応の緩和に役立つ」と推測し、

「ストレスなどの炎症反応が原因の高血圧改善には乳酸菌産生物質が役立つ(仮説)」と考え、

試験を行い、その結果を臨床高血圧フォーラムにて報告をさせて頂きました。

 

発表はポスター形式でしたが、表現の未熟さゆえ、

教授やDr.達にでさえ「難しい・・・」と嘆かれましたので、

少しでも分かり易くご覧頂ければとパワーポイントを作成してみました。

 

面白いとわくわくして頂けたら、とても嬉しいです。

 

 

 


仕込み

スライド

 

 

 

はじめに

人間の体は、腸内細菌が作る物質を取込む事も大事。

 

 

乳酸菌は、菌そのものが体に作用するのではなく、

乳酸菌が産生した「物質」が、体に作用する。

 

 

乳酸菌産生物質には、

鉄も亜鉛も、殆ど含まれていない。

短鎖脂肪酸が多く含まれている。

 

短鎖脂肪酸には、炎症抑制効果がある。

健康診断でひっかかる事が一度も無い被験者で試験。

   健康診断などの一般項目に無い微量元素を測定すると、

鉄・亜鉛のみ低めだった。

亜鉛と鉄の多い料理を食べると急速に上昇するが(12:00のみ食前)、

2日後の検査では、既に元通り。

鉄も亜鉛も殆ど含まない乳酸菌酸性物質を摂取したところ、

鉄が上昇

(この試験は、痩せ・普通・肥満で体重変化を目的にしたもので、

たまたま、鉄の上昇を確認しました)

鉄も亜鉛も殆ど含まない乳酸菌酸性物質を摂取したところ、

鉄と亜鉛が上昇

亜鉛は、一般的には、「朝が一番高く、夜が一番低く」日内変動します。

健康診断などの一般検査では、毎年、変化も殆どなく健康そのものでも、

微量元素を測定してみると変化がある事が判りました。

亜鉛:銅 比率は 一般的和食(7:1)のままで、

乳酸菌酸性物質を摂取した後は、鉄と亜鉛が上昇している事が分かりました。

まとめ

試験開始前の亜鉛量の方が多く(12mg)

試験の亜鉛量の方が少ない(7.2mg)にも関わらず、

亜鉛と銅の比率を変えた事で(6.67:1⇒11.25:1)血清鉄・亜鉛が上昇

過去の海産物や作物の亜鉛含有量(資料)を探してみましたが、

過去の日本の食材の亜鉛含有量は殆ど変わっていない様子。

過去の日本の食事でも、亜鉛:銅比率は7:1程度だったと推測。

亜鉛含有量の多い食品ばかりを毎日、毎食食べようとすると、

色々と無理が予想される。

 

また、牛レバーに至っては、亜鉛が多くても、

銅の含有量が非常に多く、全体の亜鉛比率が下がる。

主食だけで比較すると、米系は小麦粉系よりも亜鉛が多く、

ごはん200g3回食べると、鶏レバー100gよりも亜鉛量が多い。

 

低栄養のご入院患者さんの件で、介入依頼。

 アルギニン・鉄・亜鉛の強化摂取サンプル(簡便なスティック・タイプ)を

差し上げ、ご自分で混ぜて食して頂いたところ、

摂取中は上昇するも4日後の検査で元通りを確認。

再度、介入依頼

患者さんと相談の上で「美味しい」とおっしゃられる貧血食を作成。

亜鉛:銅比率は10.3:1

ご飯量も少しづつ増やし、栄養状態も徐々に改善するが、

介入から1ヶ月しても正常値にはならない。

乳酸菌酸性物質の試験では、ALBが複数上昇したが、

それはCRPが下がったから「偶然」とされ、試験の継続を断念。

別の方法として、乳酸菌酸性物質の併用試験を提案

乳酸菌酸性物質を年末(12/27)に開始し、年明け(1/4)に検査したところ、

ALB・Hb・CRPの検査値は正常になっていた。

検査値の推移(表)

検査値の推移(グラフ)

乳酸菌酸性物質の

摂取前後に検査値の変化が急速に起こったので、

乳酸菌酸性物質がなんらかの作用を起こして

栄養状態の改善に役立ったと推測する

(また、強化亜鉛では、数日で体外排出の様子が伺えた)

 

「乳酸菌酸性物質の何が作用して検査値を改善したのか?」

を調査

 

乳酸菌酸性物質には炎症抑制効果が期待できる

炎症反応が起こると細胞内の亜鉛濃度が減少

 

          (外的刺激が直接働いて、

            亜鉛が細胞内小胞体付近から数分以内に放出される)

 

亜鉛値減少により、Cu/Zn‐SODの活性低下が起こり、血圧上昇

ストレスにより血圧は上昇

ストレスが内臓脂肪組織の炎症を引き起こし、MCP-1を上昇させる。

(MCP-1を抑制すると、脂肪の炎症やインスリンの働きが改善された)

 

MCP-1が上昇すると、高血糖・脂質異常・動脈硬化が起こり易い。

(他の大学でも、MCP-1を抑制すると動脈硬化が改善されたとの発表あり)

乳酸菌酸性物質を摂取することで、

炎症が緩和され、その分の亜鉛が節約されて、

乳酸菌酸性物質を摂取すると、亜鉛値が上昇したと推測。

もし、本当に「炎症緩和作用」があるなら、

炎症(ストレス)が原因の高血圧の改善もできるはずと予想

試験後、数日で改善を被験者が自覚(計測が面倒になった頃に自己中断)

血圧の推移(グラフ)

中断して1ヶ月頃、また調子が悪くなり試験再開

「今回は効果が無い」との自覚の発言を受け、

食事記録から「塩分の多い食事」を血圧推移グラフに記入し、確認。

麺2回・忘年会・宴会の日の翌日は、必ず血圧が上昇していた

乳酸菌酸性物質が血圧を改善する可能性はあるかもしれないが、

カリウム(塩分排出作用)は、乳酸菌酸性物質(1袋)中に7.5mgしか無く、

塩分を除去する作用は無いので、塩分過多による高血圧には効果がない。

 


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