病名 痛風

原因 

痛風は、プリン体(尿酸の素。細胞の核内にある核蛋白の一種)が、

代謝して尿酸になる過程、あるいは、尿酸の排泄障害によって起こる代謝性疾患。

 

主に関節に尿酸塩が沈着(高尿酸血症)して、発作性関節炎を起こすため痛みを伴う。

 

高尿酸血症には、尿酸の合成が過剰になる(代謝性痛風)原因と、腎臓から尿酸を排泄する

機能が低下する(腎性痛風)原因の、2つによるもの、又その合併型が基本形をなす。

 

痛風は、痛風を引き起こす要因から二種類に分類される。

 一次性痛風(原発性痛風)

   中年以降の男性に多発(最近は若年化の傾向がある。女性でも発症)

     肉類・アルコール(プリン体の含有量が多い食品)を好む習慣

     肥満傾向

     ストレス

     家族に痛風患者がいる

 

 二次性痛風(続発性痛風)

     胃炎や悪性腫瘍が原因

 

症状

第一期は<無症候性高尿酸血症>で、関節炎の症候を欠くが、高尿酸血症が存在する。

 

第二期は<急性痛風性関節炎>で、

尿酸結晶により誘発される極めて急性の有痛性関節炎が起こり、

足の親指付け根の、関節の発赤・腫脹、激しい痛み、発熱・悪寒などの全身症状が襲う。

通常数時間で最高となるが、放置しても一週間程度で症状は消退する。

 

この際に検査を行うと、血沈値亢進、白血球増多などの異常検査所見を呈する。

足の親指付け根の関節に症状発生頻度が高い。急性関節炎はコルヒチンで予防できる。

 

第三期は<慢性痛風関節炎>で関節や周囲組織に常に尿酸結晶が存在し、

関節組織の破壊がある。尿酸はじん帯や皮下組織にも沈着し皮下結節を形成する。

 

第二期の発作が年1〜2回から次第に頻度を増すようになると、罹患後5〜6年の間に、

足関節・肘関節・手関節などに痛風結節を生じる第三期<慢性痛風関節炎>に入る。

 

  この他、第三期には、尿酸による腎障害、腎結石、痛風腎なども発症しやすい。

 

  治療されない高尿酸が続くと、心・脳血管障害を起こし、ついには尿毒症死になる。

  痛風を有する人の死因は、心筋・脳梗塞が60%位となっている。

 

診断

痛風は、定期検診で血中尿酸値を測定していれば早期発見が可能であるが、大部分は発作があって初めて認識する場合が多い。

 

血中尿酸値は、一般に3〜6mg/dlで、7mg/dl以上を高尿酸血症としている(約10mg/dlになると発作を起こす)。

 

   検査項目       診断目安         正常基準値

  尿酸(血清)    7mg/dl以上        2〜6mg/dl

  尿素窒素      腎障害のある時は上昇    8〜18mg/dl

  クレアチニン    腎障害のある時は上昇    0.34〜1.3 mg/dl

  腎機能       正常

            腎疾患による二次性痛風のときは低下

  血沈        関節炎発作時に上昇     男:10以下 女:15以下mm/h

  白血球       関節炎発作時に上昇     4000〜8500/m㎥

  CRP       陽性            陰性

 

  尿酸        尿酸生成亢進型では上昇

            尿酸排泄減少型では低下

  尿酸クリアランス  尿酸排泄低下型では低下

    クリアチニンクリアランス  尿酸排泄低下型では低下

 

  関節液       尿酸ナトリウムの結晶

  関節X線      関節の抜き打ち像

 

予防

一次性痛風(原発性痛風)の予防は、肉類・アルコール(プリン体多含有食品だけでなく、

アルコール自体がプリン体を貯め込む性質あり)を好む習慣における、食事バランスの改善

や、肥満予防が重要。特に家族に痛風患者がいる場合は発症しやすい傾向にあるので、太っ

ていなくても、アルコールを飲んでいなくても日頃の食生活やストレスに要注意。

(ストレスは内臓脂肪組織の炎症を引き起こし、肥満に結びつく事もあります)

 

尿酸を低下させるには、体内で作られる尿酸量を少なくするか、できた尿酸の排泄を促進

するかである。この尿酸は、プリン体代謝の終末産物として、特に肝臓で生成され、腎臓

から尿中に排泄されているが、尿酸の排泄過剰により腎臓に大きな負担をかけることから

腎障害は、最も関連の深い合併症といえる。

 

この他、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが合併症として知られている。

これらの疾患を合併している場合には、特に、肥満予防が重要。

 

 

改善

プリン体は、食物から摂取するプリン体だけでなく、

プリン体以外の蛋白質などの代謝産物からも体内で生合成されることが明らかになった上、

  急性期の鎮痛にはコルヒチン剤、慢性期には尿酸利尿剤、等の治療薬の普及により、

食事療法は以前ほど重視されないが、

プリン体含有量の多い食物は血中尿酸を上昇させるので、低プリン体食摂取が望ましい。

 

高尿酸血症は降圧剤や抗結核剤を用いても、いずれも尿中に尿酸をみるため、

発症後は体内の尿酸の動向に注意し、高尿酸血症の是正を目標に、

プリン体の制限食、肥満を除去し、標準体重の維持に努める食事の改善、

更に合併症予防の為の食事療法が必要である。

 

【食事療法の基本方針】

@     プリン体の制限 ・・・良質蛋白質の不足にならぬ程度に過剰プリン体摂取を避ける

A     エネルギーの制限・・・肥満にならぬように標準体重の維持が目標

B     アルコールの制限・・・尿酸排泄を抑制し、血中尿酸値を上げるので制限

C     水分の摂取   ・・・尿酸排泄・腎臓結石予防の目的で、尿量2L/日以上に維持する為、

                          不感蒸発500ccを加えた2.5L以上の水分補給が目標。

D     脂肪の制限   ・・・高脂肪食は、ときにケトーシスを引き起こし腎臓からの尿酸

                          排泄を減少させ血中尿酸値を上昇させる。個人摂取量を相談。

E     減塩      ・・・高血圧、浮腫のある場合は制限

F     尿のアルカリ化 ・・・尿酸がアルカリに溶けやすい性質を利用し尿のアルカリ化を

図るため、重曹を飲んでph6.5位の理想値にするのも方法で

はあるが、野菜や果物の摂取は尿のアルカリ化につながる為、

十分に摂取するようにする。

 

食品の選択

食事の中で摂取するプリン体は、体内で尿酸を作り出す原因物質の一つです。

尿酸は体内で毎日合成され、不要分は体外に排出されます。

 

★ 例えば、体重65kgの成人男性の、通常の尿酸の動き 

摂取・体内合成 − 尿400〜600mg − 便300mg = 体内の蓄え1200mg以下

 

過剰な摂取・過剰な合成、排泄量の減少により、体内の蓄えが1200mg以上になると、

高尿酸血症となり、痛風の発症につながって行きます。

       プリン体(尿酸の素。細胞の核内にある核蛋白の一種)が、代謝して尿酸になる。

       尿酸の特徴

@     水溶性である・・・温かいお茶等の水分を2.5〜3L/日を分割して飲む。

A     アルカリにも溶ける(アルカリ水ではなく、野菜・茸・海藻・蒟蒻の摂取を増加すること)

B     アルコールで蓄える・・・飲酒中「おつまみ」や翌「朝食」はプリン体の多いものを避ける。

 

       プリン体の多い食品・・・もし、日常的に召し上がっていたら、

まず、今の半分量に減らしてみてはいかがでしょうか?

 <お酒>・・・ビールが一番、日本酒が二番に、プリン体の含有量が多いとされています。

焼酎・ウヰスキーのプリン体量は少ないけれどアルコールなので、

結局、体に尿酸を蓄える手伝いをしてしまいます。

 <干物>・・・さきいか、鰹節、煮干、サラミ等、

干して細胞が凝縮している物は多いです。

 <健康食品>・・・青汁・DNA/RNA・ビール酵母・クロレラ・ローヤルゼリー等にも含有。

 

 <魚卵>  卵の一粒一粒に、核酸がそれぞれ「1個」存在するとイメージして下さい。

 

   1個           ⇒        ⇒     数多い

        

   卵           いくら      たらこ     子持ちししゃも

(1日平均1個程度まで)   すじこ      明太子     子持ちカレイ

 

<頭・はらわた>     頭と腸の部分に核酸が多いとイメージして下さい

 

丸ごと食べる魚      丸ごと食べる貝      内臓や肝和え

子持ちししゃも      あさり          レバー・フォアグラ

丸干し          しじみ          脳・白子・腎臓

煮干・田作り       かき           肝和え(イカの塩辛など)

あゆ           はまぐり

さんま(腸)

 

 当院では、診察時間の間、いつでも栄養指導を行っておりますので、

もし、面白そうだと感じて頂けましたら、

当院ご診察の上、お気軽にご利用くださいませ。

 

< 各疾患の食事について >選択トップページに戻る


< 各疾患の食事について >選択トップページに戻る