病名 慢性心疾患

原因

三大生活習慣病の一つである「心臓病」の急増原因として、

「食事の偏り」「運動不足」「ストレス過剰」が指摘されています。

 

虚血性心疾患の危険因子としては、動脈硬化、高血圧、脂質異常症、

肥満、喫煙、飲酒、糖尿病、高尿酸血症、遺伝、精神的ストレス等が

あげられます。(*参照:動脈硬化症)

 

改善 

治療に際しては、食事、特に塩分摂取量や脂肪エネルギーの質と量に

関する摂取方法を、状態や投薬内容に合わせてコントロールする事がお勧めです。

 

高血圧や心疾患の薬には、食べ合わせの悪い食品もありますので、

薬の注意を良く読んで守ることが大事です。

 

また、心臓負担をかけぬよう、移動場所の寒暖差や、入浴などの日常動作にも

気をつけ、体に適した運動をし、肥満の除去と予防に心がけ、

動脈硬化の予防を心がける事が肝要。 

 

食事療法

<食品の選択と調理上の注意>

1,              減塩食(特に塩分の多い食品(飯の友)でご飯を食べない。汁を残す等の工夫を)

2,              適切なエネルギーで、コレステロールの多い食品(痛風をご参照)は過剰摂取しない。

3,              炭水化物ばかりが目立つ食事に偏らず、バランスの良い食事を心がけること。

4,              腹部膨満感のある物、ガスを発生しやすい物(牛蒡、薩摩芋、炭酸飲料)を避ける。

5,              カリウムを多く含むもの(海藻類、茸類、野菜、豆類など)を選ぶ。

6,              刺激物(唐辛子、わさび、辛子、カレー粉、コーヒーなど)を避ける。

7,              便通をよくする。

8,              食事の温度に注意する。(熱すぎない、冷たすぎないもの)

 

@塩の制限 

 最も重要な食事療法。

治療に際しての食塩重量は、

1日 1g/日(浮腫時)

35g/日(中等時)

56g/日(軽症時)の食事制限とすることが多い。

 

Aエネルギー制限

 低エネルギー食は体重を減少させ、肥満を防ぎ、基礎代謝を低下させ心負担を軽くする。

1.初期の重症時(1,000kcal/日程度)絶対安静で食事摂取も困難とし、

    消化の良いものを、心臓への負担を軽くするために必要があれば少量づつの頻回食で。

2.中等症時(1,5001,600kcal/日程度)安静を必要とし、食事は軽めが良い。

3.軽症時(標準体重を維持する範囲で十分なエネルギー)炭水化物の過剰摂取に注意。

*各塩分制限食(心臓高血圧食の適用)

 

B-1良質蛋白質の摂取

心疾患の場合、治療の意味からも蛋白質の摂取が必要で、

重症時でも体重1kg当たり1g以上の良質蛋白質を摂取する事が望ましい。

 

B-2水分の制限が指示されている場合

経口摂取自体が心負担を増すので、水分の制限が指示されている場合は

『尿量、不感蒸泄量、血圧、浮腫状態を考慮して』指示されているので、

水分の制限指示は遵守すること。

 

B-3脂質の過剰摂取は制限

脂質エネルギー比は成人で2025%(一般的な目安割合)

 

*以下 、 コレステロール・・・cho

 

 LDL-cho ・・・ 一般的に言われている悪玉コレステロール

   細胞膜や血管壁や性ホルモンの原料ともなるが、過剰になると血管に蓄積。

 

 HDL-cho ・・・ 一般的に言われている善玉コレステロール

   主に肝臓と小腸で合成され、細胞や血管のコレステロールを肝臓に回収

 

脂質の主要な構成成分は脂肪酸であり,各脂肪酸の摂取量に配慮することも必要。

 

理想比は、各脂肪酸の作用や日本人の栄養調査の結果などを検討した結果の目安。

 

脂肪酸はフリーラジカルによって過酸化脂質に変質するため,

過剰な摂取は好ましくなく,抗酸化物質をあわせて摂取することが必要である.

B-4ビタミン・ミネラルは十分に

 心不全では胃腸管の静脈うっ血、強心剤(ジキタリス)等により食欲不振が起こったり、

長期間利尿剤を用いた場合は水溶性ビタミン(ビタミンB群やCなど)が尿に排泄され易いので、

ビタミン1(豚肉、発芽玄米、海苔等に豊富)等の水溶性ビタミンの欠乏症が起こり易いので、

ビタミン剤の使用も必要となる。また、利尿剤使用時に注意すべきことは、

ナトリウムの排泄と同時にカリウムの排泄も行われ、

カリウムが不足すると心電図に変化が起こり、

食欲不振、脱力感、呼吸困難などを引き起こすので十分な注意が必要。

 

【虚血性心疾患・狭心症・心筋梗塞の場合】

<食品の選択と調理上の注意>

1,飽食を慎み、腹八分目とする。

2,動物性食品は飽和脂肪酸の少ない種類、部位を選ぶ。

3,コレステロール低下作用のある鰯や鯖などの魚類を十分に摂る。

4,急性時には、消化吸収の良いものを少量づつ、回数多く、適温で与える。

5,少ない塩分で美味しく作る工夫をする。

(酸味に極少量の甘味を加えると塩味に感じ易く、旨みの食材を相乗して使う事や、

 油を上手に加える事で少量の塩分でもクッキリとした塩味を引き出す等の工夫を)

 

<急性期>

心身の安静を第一とする。

絶食後に、心臓に負担をかけない程度の流動食から、

段階的に軟らかい食品にupさせてゆく場合や、

エネルギーが低めの、炭水化物を主とした少量頻回食という場合もあります。

 いずれも、状態によりDr.が判断して食事内容を決定します。

 

<回復時・維持期>

肥満改善を第一に、肥満の場合はエネルギーを制限。

発作後は特に、エネルギー消費量が著しく低いので、エネルギーも低く抑えておく。

 

栄養素の配分は、炭水化物が60%程度。

穀類、芋類を中心として摂取し、血中中性脂肪を急上昇させる砂糖類、果物等は制限する。

 

脂質エネルギーは25%を限度とする。(*一般の常食と同じ)

血中コレステロール低下作用のある魚類、オリーブ油、ゴマ油 等の植物油を用いり、

動物性脂肪の摂取を控える。(★LDLchoを下げるマヨネーズ等も市販されている)

 

良質の蛋白質を、栄養所要量通り十分にとり、心筋の強化を図る。

(動物性脂肪には御注意)。

 

食塩の制限。心不全や高血圧の場合は症状に合わせて制限が必要なので除き、

それ以外の場合は、1日8g前後の摂取制限とする。

 

ビタミン・ミネラルは、十分に。症状の回復に従って野菜類を十分にとる。

特にビタミンEの摂取に気をつける。

 

この他、アルコール類、嗜好飲料も控えねばならない。

また、高血圧症、動脈硬化症、脂質異常症を配慮した食事療法となるので、

これらの病気も参照されたい。

 

血液の抗凝固剤(ワーファリン)服用時:

血液を固まりにくくするために抗凝固剤(ワーファリン)を使う事が多いが、

納豆菌は腸内でビタミンKを合成し、薬の作用に影響するので、

使用の際には納豆を禁止にすること。

 

もし食事の話にご興味を持って頂けましたら、

当院では、診察時間の間、いつでも栄養指導を行っておりますので、

当院ご診察の上、お気軽にご利用くださいませ。

 

 

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