病名:膵臓疾患

原因

急性膵炎

アルコールの過飲、脂質異常症、胆石症などが原因となり、健康と思われる状態から、

突然、上腹部の疝痛様発作が現れる膵臓の急性炎症。これは膵臓の消化酵素が膵組織を

自己消化するために発生。他の隣接する臓器や遠隔臓器にも影響を及ぼす可能性がある。

胆石および胆道疾患を原因とする場合は、膵液の通り道が塞がれるために発生する。

日本ではアルコールと胆石が急性膵炎の2大成因。

 

慢性膵炎からの急性膵炎は、わずかなアルコール摂取でも急性増悪の契機になります。暴飲暴食、

揚げ物、クリームやチョコレートなどの脂肪食も引き金になりやすい。

 

慢性膵炎

飲酒によるもの(アルコール性膵炎)が最も多く約三分の二を占めてはいますが、

大量飲酒者(エタノール換算で一日150ml以上)の12%しか慢性膵炎を発症しないこと

から、飲酒に加えて環境因子や体質などの素因が関係すると考えられています。

喫煙も発症および増悪に関係することが分かっています。その他に胆石によるものや

稀な原因のものがあります。

 

症状

急性膵炎

突然発症し上腹部痛を伴う。急性膵炎での多く場合、悪心、嘔吐、発熱、頻脈、

白血球増加、血中または尿中の膵酵素の上昇がみられる。

重症時には、ショック、腎不全、呼吸不全などの合併症を伴う。

 

慢性膵炎

初期では腹痛や背部痛が主な症状。その他、吐き気や嘔吐、腹部膨満感、腹部重圧感など。

症状が進行すると腹痛は軽減することが多いようです。

痛みが軽減されても実際には膵臓の働きは弱まるので、

体重減少、脂肪便、下痢、高血糖などの症状が起こることがあります。

 

診断

1、              上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある

2、              血中または尿中に膵酵素の上昇がある

3、              超音波、CT または MRI で膵に急性膵炎に伴う異常所見がある

上記3項目中2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断。

但し、慢性膵炎の急性憎悪は急性膵炎に含める。

 

改善

・急性膵炎

症状初期は、一般に比べて大量な補液を必要としますので、

速やかに十分な補液が必要です。

症状を感じた場合は、速やかに受診される事をお勧めします。

 

(食事療法)

@消化の良い食事

A脂質の制限(膵臓の自己消化を強化させてしまうので、厳しく制限管理)

B蛋白質の制限(回復期初期は、脂質同様厳しく制限)

Cアルコールの制限(膵障害、膵液分泌促進による うっ滞作用等を起こすので制限)

D香辛料の制限(膵液分泌促進のため、制限または禁止)

E    ビタミン、ミネラル類の不足に注意(制限のため吸収しにくい脂溶性ビタミンや、

低カルシウム血症なども起こしやすいので、十分に補えるよう心がける)

F減塩

 

・慢性膵炎

通院と内服薬管理で改善する事が多いが、以下の食生活を守ることも予防改善には重要。

特に、飲酒、喫煙、高脂肪食は再発原因となりやすいのでご注意を。

 

(食事療法)

@     油脂類の過剰摂取は避ける(揚げ物やチョコレートなど)

A     良質の蛋白質としての動物性食品の選択については、脂肪の少ない種類、部位を選び、

   エキス分や飽和脂肪酸を多く含む食品の使用は控え、調理法にも工夫を。

B     香辛料や刺激物は、急性期には避ける。

 (カレー粉、芥子、わさび、コーヒー、濃い茶、炭酸飲料、アルコールなどを避ける)

C     味付けは薄味とする。 

D 消化の良い食事を心がける。

 

もしご興味を持って頂けましたら、

当院では、診察時間の間、いつでも栄養指導を行っておりますので、

当院ご診察の上、お気軽に栄養指導をご利用くださいませ。

 

 

 

< 各疾患の食事について >選択トップページに戻る


< 各疾患の食事について >選択トップページに戻る